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赤字・負債がある自動車整備業の売却と事業承継
自動車整備業の売却・事業承継のご相談を承ります。赤字・債務超過・後継者不在の状況でも、選択肢を一緒に整理し、状況に合った専門家や公的な相談窓口をご案内します。
自動車整備業の引き継ぎで評価されうる価値
認証・指定工場の資格・整備士の在籍・車検の継続顧客が評価対象です。整備士が不足している業界のため、人材と設備ごとの引き継ぎに関心を持つ買い手もいます。
決算書の数字だけで決まるわけではありません
売却や引き継ぎの可能性は、直近の業績や財務内容だけで決まるものではありません。自動車整備業で培った営業基盤・人材・許認可・取引先との信頼は、買い手にとって一から作れない価値として評価されることがあります。一方で、負債・滞納・保証の状況によって取れる方法は変わります。廃業してしまう前に、引き継ぐ選択肢があるかどうかを専門家と確認してみてください。
自動車整備業の売却・承継で論点になること
自動車整備業の「認証」(自動車特定整備事業)は、道路運送車両法で、事業の譲渡・相続・合併・分割による地位の承継が認められており、承継から30日以内の届出で引き継げます。一方、民間車検場の「指定」(指定自動車整備事業)には同じような承継の規定がないため、指定工場を引き継ぐ場合は手続きの事前確認が欠かせません。赤字・負債がある場合は、整備士の在籍継続と、工場の土地・設備の扱いが大きな論点になります。
自動車整備業の売却・承継で見られるポイント
赤字・負債があっても評価されうる点
- 民間車検場としての指定。指定工場は保安基準適合証を交付でき、車検(継続検査)で車両を検査場に持ち込まずに済む仕組みを使えるため、車検の顧客基盤として評価される可能性があります。
- 1級・2級自動車整備士や自動車検査員などの有資格者の在籍。認証の基準では、整備士の人数なども定められています。
- 分解整備や電子制御装置整備(自動ブレーキのカメラ・レーダーの調整など)を行える認証・設備・人材。2020年4月から、これらの整備は認証が必要な「特定整備」とされています。
- 車検・定期点検の継続顧客や、地域の法人・リース会社などの取引先。
買い手・専門家が確認することが多い点
- 整備主任者・自動車検査員・整備士が、承継後も在籍するか(事業場ごとに整備主任者の選任が必要)。
- 工場の土地・建物が会社の所有か、経営者個人の所有か、賃借か。賃貸借契約を引き継げるか。
- 敷地内での油・廃液の保管や処理が、適切に行われてきたか。
- 特定整備記録簿(2年間の保存義務)など、法律で求められる記録がそろっているか。
- 過去の行政処分(事業停止、保安基準適合証の交付停止など)や、不正な車検の指摘がないか。
- 整備機器のリース残債や、古くなった設備の更新費用。
主な許認可と、引き継ぎ方による違い
会社ごと引き継ぐ「株式譲渡」と、事業だけを引き継ぐ「事業譲渡」では、許認可の扱いが異なることがあります。 要件や手続きは個別の事情・自治体の運用で変わるため、実際には所管の行政庁や行政書士などの専門家に事前確認が必要です。
| 許認可 | 株式譲渡(会社ごと)の場合 | 事業譲渡の場合 |
|---|---|---|
| 自動車特定整備事業の認証(認証工場)道路運送車両法 | 認証は会社に残ります。役員の氏名などが変わった場合は、30日以内に地方運輸局長への届出が必要です。 | 事業を譲渡した場合、譲受人は認証を受けた事業者の地位を承継し、30日以内に届け出ます(道路運送車両法第83条)。相続・合併・分割(事業を承継させるもの)でも地位を承継し、30日以内の届出が必要です。承継後も、事業場の設備や整備士の人数などの基準を満たさないと、改善命令の対象になります。 |
| 指定自動車整備事業の指定(指定工場・民間車検場)道路運送車両法 | 指定は会社に残ります。自動車検査員を選任・変更したときは、15日以内に届け出ます。 | 道路運送車両法では、認証と異なり、指定には譲渡・合併などによる地位承継の規定が設けられていません。事業譲渡で指定工場を引き継ぐ場合の手続き(改めて指定を受ける必要があるか等)は、所管の運輸支局等への事前確認が必要です。指定を受けた事業者が認証を受けた事業者でなくなったときや、事業の廃止を届け出たときは、指定は効力を失います。 |
赤字・負債がある自動車整備業で気をつけたいこと
整備工場は、整備士の人数など認証の基準を満たす人材がいなければ続けられない業種です。整備士の高齢化や退職で基準を満たせなくなる前に承継を検討することが、工場の価値を保つうえで重要になることがあります。
認証は事業譲渡でも届出で承継できる一方、指定には承継の規定がなく、指定を受けた事業者が認証事業者でなくなると効力を失う仕組みです。指定工場の場合は、株式譲渡で会社ごと引き継ぐか、事業譲渡を選ぶかによって、車検業務を続けられない期間が生じるかどうかが変わるため、運輸支局や行政書士に早めに確認することが大切です。
工場の土地・建物を経営者個人が所有している場合は、会社の承継とは別に、土地・建物を売るのか貸すのかも決める必要があります。個人保証や担保の状況とあわせて、税理士・弁護士などの専門家と整理しておくことをおすすめします。
自動車整備業の売却・承継でよくある質問
Q. 整備工場の認証は、事業譲渡でも引き継げますか?
A. 道路運送車両法では、自動車特定整備事業を譲渡した場合、譲受人が認証を受けた事業者の地位を承継すると定められており、承継から30日以内に地方運輸局長へ届け出ます。相続・合併・分割でも同様です。ただし、承継後も事業場の設備や整備士の人数などの基準を満たす必要があり、満たさない場合は改善命令の対象になります。
Q. 指定工場(民間車検場)の指定も引き継げますか?
A. 指定については、認証のような譲渡・合併による地位承継の規定がありません。株式譲渡で会社ごと引き継ぐ場合は指定は会社に残りますが、事業譲渡の場合の扱いは、所管の運輸支局等への事前確認が必要です。車検の売上が大きい工場ほど、指定の扱いを先に確認してから承継の方法を決めることをおすすめします。
参考にした公的な情報
- e-Gov法令検索「道路運送車両法(第78条〜第83条・第91条・第92条・第94条の2〜第94条の9)」 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0000000185
- e-Gov法令検索「道路運送車両法施行規則(第57条:認証基準、第62条の2の2:遵守事項)」 https://laws.e-gov.go.jp/law/326M50000800074
- 国土交通省「自動車特定整備事業について」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr9_000016.html
- 国土交通省「指定自動車整備事業制度について」 https://www.mlit.go.jp/jidosha/shiteiseibi.html
情報の確認日: 2026年9月24日
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